賃貸物件を退去する際、高額の退去費用を請求されたり、クロス(壁紙)を全面張り替えさせられたことはないですか?
引っ越しの平均回数は3回というデータがある通り、賃貸の退去費用規定に詳しい人はそう多くはないでしょう。
そのため、本来払うべき費用より多く請求してくる業者が多いのが現状です。
私は今まで8回引っ越しをしてきましたが、賃貸物件を退去する際に何度も多く退去費用を請求されそうになりましたが、知識があったため未然に防ぐことができました!
賃貸物件では『原状回復』というワードをよく聞きますが、退去時の基本知識からよく請求されやすい項目をわかりやすく解説していきます。
入居時のみだけでなく、退去時も必要以上に請求されやすいため、知識をつけて対策しましょう!

原状回復ってよく聞くけど、入居した時の状態まで戻さなきゃいけないの?
長く住んでいて劣化している箇所はどうしたらいいの?
原状回復とは?
賃貸物件を退去する際は「原状回復義務」があり、入居時と同じ状態にする必要があります。
しかし!普通に生活していてついた傷みや汚れではなく故意に破損、汚損してしまった箇所のみ修復すれば良いのです。
実際に長く賃貸物件に住んでいればクロスを汚してしまったり、自然に劣化してくる箇所はでてきて当然です。
経年劣化や通常損耗と故意による劣化は違いますので、まず大きく分けてその二種類があることを再認識しましょう。
借家人(入居者)が負担しなくて良いもの
- 経年劣化による傷み
- 通常消耗による傷や汚れ
借家人(入居者)が負担する必要のあるもの
- 故意に発生した傷や汚れ、破損

経年劣化とは…
時間の経過で品質が定価することです。
通常消耗は…
通常の生活上生じた小さな傷や汚れです。
- 経年劣化の例
- 日光によって畳が日焼けした場合
- 家具や家電設置のよるフローリングのへこみ
- 浴室や壁紙の黄ばみ
- 通常の生活上生じた小さな傷や汚れ
- 故意に発生した傷や汚れの例
- 子どもの落書き
- 食べ物や飲み物をこぼして際に生じたシミや汚れ
- ペットのよる引っかき傷や汚れ
- 物をぶつけた破損
『原状回復』詳細については国土交通省「原状回復をめぐるトラブルガイドライン」に載っています。

自分の過失の場合、全額負担しなくちゃいけないの?
借家人(入居者)の故意や過失による傷や汚れ、破損の費用
借家人の過失で費用を負担することになった場合でも、新品全額の費用を負担する必要はありません。
このケースでもすでに経年劣化や通常消耗が含まれていて、借家人は賃料として支払っているためです。
負担については建物の設備や設備の経過年数を考慮し、年数が経つほど減額することになっています。
6年で価値がなくなる?
通常こちらの過失があった場合、費用を負担する必要がありますが、6年経つと耐久年数は経過したとされ価値はなくなります。
つまり、6年以上住めば残存価値は1円になりますので、負担する必要はありません。
また3年の場合は半分の負担で良い計算です。
- 6年経過したら費用を負担しなくて良い箇所
- クロス
- クッションフローリング
- カーペット

フローリングは例外になります。
詳しく解説しますね。
フローリングの耐久年数は?
フローリングは原則㎡で計算されます。
そのため損傷箇所だけの負担でOKです。
全体にわたる毀損や複数箇所の場合は居室全体の補修が必要です。
「フローリングの部分補修」は経過年数を考慮しません。
損傷箇所のみ費用を負担することになります。
一方「フローリング全面張り替え」の場合は耐用年数における経過年数を考慮します。
その場合建物によって耐用年数が変わります。
建物の構造 | 耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造 | 19年 |
鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47年 |
この当該建物の耐用年数で残存価値1円になるように計算します。
つまり木造の物件に22年住んでいれば、負担する必要は無くなるということです。

新築物件ではなく、以前誰かが住んでいた物件に入居する場合は年数の計算どうなるの?
入居時新品でない場合の計算方法
新築の物件はそう多くはありません。
賃貸物件の場合多くの方が前に入居者がいたことになります。
前に住んでいる人がいた時の年数計算は以下です↓
- 新品に変えている場合
- 原則どおり上記の年数になります。
- 新品に変わっていなかった場合
- 前入居者の入居していた期間も年数に通算されます。

費用を負担する場合、負担の範囲(単位)を教えてほしいな。
借家人の負担単位
仮に負担する箇所があった場合、単位はとても重要ですよね。
よくあるのが「クロス張り替えの必要があるので、全面張り替えですね!」など大幅に請求してくるケースです。
負担箇所には国土交通省のガイドラインで決められた単位があります。
箇所 | 借家人の負担単位 |
---|---|
畳 | 原則1枚単位 |
カーペット クッションフロア | 毀損等が複数箇所の場合は居室全体 |
フローリング | 原則㎡単位 毀損等が複数箇所の場合は居室全体 |
壁(クロス) | ㎡単位が望ましいが、一面まではやむを得ないとする |
タバコ等の ヤニ、臭い | クロス等がヤニで変色したり臭いが付着した場合のみ居室全体のクリーニングまたは張り替えとする |
襖 | 1枚単位 |
柱 | 1本単位 |
設備機器 | 補修部分、交換相当費用 |
鍵 | 補修部分 紛失の場合はシリンダーの交換も含む |
クリーニング | 通常、退去時の清掃を怠った場合のみ 部位ごとまたは住戸全体 |
まとめ
多く請求されないように気をつけたいポイント
- 部屋の状態を写真や動画に撮り証拠を残しておく。
- 入居すぐと退去前。
- 立会いの際の精算書にすぐサインや支払いをしないこと。
- 一度合意してしまうと返金や覆すことが難しくなるため。
- 明細を必ずもらい適正な金額か判断しましょう。
- 退去時はもちろん、入居時にも双方が立会い部屋の状況を確認しチェックリストを作成する。
- 退去時の原状回復について賃貸借契約書の内容をよく読み理解しておく。
- 特約など追記されている場合も多いので、契約前にしっかり確認する。
- やりとりはメールか録音で記録に残しましょう。
入居時にはお金がかかるイメージですが、退去時にも意外にかかってしまう場合があります。
自身の過失の分は仕方ないですが、余分に搾取されないようにしましょう。
損傷原因、年数、範囲をしっかり見極めて対応しましょうね。
浮いたお金で、引っ越し先のご挨拶の粗品や新居のインテリアを買っちゃいましょう♪
新しいお家に今人気急上昇の観葉植物も素敵です。